『MSX・FAN』誌が1年後の休刊を予告 (1994年9月8日)

本家『MSXマガジン』が休刊してから2年。それでも唯一のMSX誌として発行を続けてきた『MSX・FAN』誌(徳間書店インターメディア、以下Mファン)が、1994年10月号にて衝撃の発表を行った。

表紙には「ラスト6」との文字が。つまり、(今号を含めて)6号を発行した後に休刊するということである。出版業界において、休刊とはいきなり訪れるものであり、予告すること自体が極めて異例である。

 

Mファンの苦境は誰の目にも明らかであった。フロッピーディスクが付録につくとはいえ、定価は980円、さらに1,980円に値上げ。刊行ペースは月刊から隔月刊になっていた。

新作ソフトがなかなか出ない現状では誌面構成にも苦労した。他機種からの移植を待望するコーナーもできたが、成功例は「ソーサリアン」程度。「シムシティ」は結局最後まで出なかった。裏表紙を飾っていたパナソニックの広告は、MSX本体ではなくワープロに変わっていた。

 

前号にあたる1994年8月号では、読者に定期購読を呼びかけていた。申込数によっては「撤退」、すなわち休刊せざるを得ないという悲痛の叫びであった。

定期購読を申し込むには、年間6冊分=12,000円を前金で用意しなければならない。読者の年齢層が低いMファンにとって、このお金を捻出できる読者は限られており、定期購読者は伸び悩んだ。

それでも、いきなり休刊するのではなく、1年間という猶予が与えられたのは、読者たちの情熱と、北根紀子編集長の情熱が合わさったものと言えよう。

 

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