新作ゲームソフトが供給されなくなった末期のMSXは、他機種からの移植に望みがかけられていた。
『MSX・FAN』誌ではMSXへの移植を希望するソフトを読者から募り、実際にメーカーに交渉しに行く企画を掲載していた。
その中でも上位にランクされていた「シムシティー」の移植決定が報じられたのは、1992年5月号である。『MSXマガジン』誌でも同様に報じられたが、奇しくもこの号でMマガは定期刊行を終了した。
当初は1992年6月発売予定と発表されていたが、幾度となく延期を繰り返し、ついに越年。そして、『MSX・FAN』1993年4月号でついに開発中止が発表された。
開発元はPC-9801版やX68000版を販売していたイマジニアだが、実際の移植作業は外注のプログラマーが行っていた。進捗が滞り、契約を解除したことが中止の理由である。逃亡説も流れているが真相は不明。
当時のMSXユーザーにとっては唯一かつ最後といってよい希望がここで潰えることとなったのだが、その命運を個人のプログラマーが握っていたというのは実に末期らしいエピソードと言える。
その後、2008年にはブラジルで有志の手による勝手移植が発表されている。ブラジルではMSX1が主流だったため、この移植版もMSX1で動作するものとなっている。
https://www.amusementfactory.com.br/msx/sc/?l=en
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