1995年7月23日、東京都北区「北とぴあ」にて、イベント「似非RAMカートリッジ製作セミナー」(通称: 似非セミナー)が開催された。
主催者である同人サークル「似非職人工房」の名前にちなむこのイベントは、名前も内容も異彩を放つものであった。
同人系MSXイベントを大別すると、主に同人ソフトを持ち寄って販売するのがメインの「即売会」系イベントと、ファン同士が交流を図るのがメインの「集い」系イベントに分かれる。
しかし「似非セミナー」は、そのどちらでもない「電子工作系」イベントである。MSXがソフトウェアだけでなく、ハードウェア的にも改造しやすいことに着目した。
似非セミナーでは、似非職人工房が開発した同人ハード「似非RAM」を参加者が自作することを目的としている。似非RAMは、既存のROMカートリッジを改造してSRAMチップを搭載したもので、MSX本体から外部ドライブとして利用できるというものだった。いまでいうところのSSDのようなものである。参加者は自らはんだごてを握り、講師の指導を受けながら似非RAMを製作していった。
ROMカートリッジが必要な理由は、その中に搭載されている部品「メガROMコントローラ」を利用するため。その部品にもいくつかのバージョンが存在したため、改造可能なROMカートリッジのリストがあらかじめ公開され、リストに掲載されているものの中からひとつを参加者が持参する形をとっていた。当然ながら、改造後はそのカートリッジに入っていたゲームを遊ぶことはできなくなるので要注意。
似非セミナーはその後数回開催されることになるが、ROMカートリッジを持参しなくてすむよう、あらかじめ主催者側が用意するようになった。そこで選ばれたのが「聖飢魔IIスペシャル」である。聞いたところによると、どうも仙台の某電気店に眠っていた在庫を丸ごと買い取ったらしい。
似非セミナーは、後に「集い」系イベントを取り込む形で定期的に開催され、首都圏のMSXユーザーが集まるイベントとして発展していくことになる。
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