MSXのプロトタイプ「SV-318」発表 (1983年1月)

1982 年の夏頃、西和彦はスペクトラビデオ・インターナショナル(以下スペクトラビデオ)という会社と接触していた。MSX 発表の記者会見に参加していたアメリカ企業とは、実はこのスペクトラビデオである。

スペクトラビデオは1981 年に設立された家庭用ゲーム機のソフトウェアメーカーである。当初はアタリVCS 向けに、そして1982 年からはこの年に発売されたコレコビジョンというハードウェア向けにゲームを供給していた。スペクトラビデオは自社でもハードウェアを製造することを計画、そこで目をつけたのがホームコンピューターであった。

アスキーはスペクトラビデオと協力して、ホームコンピューターの設計とマイクロソフトBASIC の開発・供給を行った。そして1983 年1 月、ラスベガスで開催されたCESにて「SV-318」が発表されたのである。

SV-318 は$299という低価格で発売された。コストダウンを優先するために、そのスペックには、すでに他のハードウェアで採用され実績をあげているチップが採用された。多く採用されているということはそれだけコストダウンの効果が高いということだ。CPU にはザイログ社のZ80。VDP(画像処理プロセッサ)にはテキサス・インスツルメンツ社のTMS9918A。これらはコレコビジョンと同じものであり、スペクトラビデオ社にとってもソフトウェアの開発がしやすいものであった。また、音源にはGI 社のAY-3-8910(いわゆるPSG)が採用された。

「Z80」「TMS9918A」「PSG」そして「マイクロソフトBASIC」。この4 点がSV-318 の構成の根幹であり、MSXにも同じ4 点セットが採用されることとなる。

松下電器には、1982 年の暮れ頃にすでにSV-318 のプロトタイプが持ち込まれていたとされる。そして、SV-318 はそのままMSX のプロトタイプともなった。

 

Spectravideo SV-318 (samdal.com)

SV-318 – Wikipedia

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